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AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 / K mount

AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 というレンズ

AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8

前回の AUTO ALBINAR SPECIAL 35mm F2.8 に続いて、ALBINAR のレンズということになるが、今回は最初から期待している。といいうのも、135mmレンズだからだが、昔の135mmレンズは、不人気なのか、非常に安価で入手可能なものが多い中、その値段にも関わらず、よく写るレンズが多い。特にだが、135mm F3.5 というスペックのレンズには、あまりハズレが無いような気がする。このレンズは、2/3段ほど明るいので、光学的には、やや厳しいかもしれないが、それでもよく写る可能性が高い。未使用らしき売り文句だったが、そうではなく、尚且つクモっていた・・しかし、簡単に直せたので良しとする。
尚、ALBINARについての記述は、前回の AUTO ALBINAR SPECIAL 35mm F2.8 で見てほしい。


AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8

クモっていたとはいえ、あまり使用感が無いのは確かで、かなりの美品ではある。クモリは簡単に取れたので、本来の描写で撮れそうである。
これと同じ焦点距離のレンズとしては、smc PENTAX 135mm F3.5 と s-m-c Takumar 135mm F3.5 を持っている。最近、A 135mm F2.8 と m 135mm F3.5 を手放した。単純に smc PENTAX 135mm F3.5 が、一番よく写るからだ。ただ、大きく個性の異なるレンズというのも一つ欲しい。というわけで、AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 ということになった。当時の4枚玉の135㎜レンズは、1930年代に確立した光学系のもので、どれもだいたい写りが良い。特許切れもあり似たようなレンズが多い。
このレンズ、スペックに対して比較的コンパクトで、smc PENTAX 135mm F3.5 よりも、やや太いが、長さは短い。
これと同じデザインのレンズは見つけられなかったが、おそらく近い存在として、Albinar ADG Coated Optics 135mm F2.8 というものがある。製造元は謎だが、やはりSamyang疑惑がある。しかし、デザインは少しだけ異なり、LENS MADE IN JAPAN とある。そしてPASSEDシールも貼ってある。年代を考えれば、怪しいものではある。評価は、意外にも高めだ。
他、似たようなOEMは以下がある。

Sears Auto Multicoated 135mm F2.8

JCPenney Coated Optics 135mm F2.8

絞りリング以外は同じに見える。Samuyang のレンズである可能性が濃厚になった。全体的に評価は高めのレンズということになる。

Praktica 135mm f2.8

M42マウントのこちらのレンズもまた同じ光学系の可能性が高い。
欧米のメーカーは、アジアの光学メーカーに多くのOEMを作らせている。韓国Samyang や 中国鳳凰光学、日本ではペトリやシグマ、タムロン、トキナー、コシナ、富岡等多数のメーカーがOEMを展開していて、それだけに分かりにくい。これらのメーカーは、欧米メーカーの要求基準をクリアしていたのだろう。


PENTAX K-1 に AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 を取り付けた

金属製の鏡筒は、K-1 によく似合っている。この時代のレンズの特徴だと思うが、金属製でビルド品質が高いものが多い。このレンズも多分に漏れずしっかりとした作りだ。レンズフードは内蔵式だが、正直短すぎて、役に立つのかどうか分からない。あとから付けたほうが、コントラストの低下を防げるかもしれない。
このレンズは、35mm とは異なり、普通にフルサイズでの使用を考えている。
そういえば、ALBINARの標準レンズを検索しても出てこない。当時のカメラは、まず50mmか55㎜のレンズから購入するので、次のレンズということで、28mm、35mm、135mm というラインナップを用意したのだろうと予測する。そうだとすると、コスト的に純正よりは安い必要があっただろう。やはり画質的には劣るのだろうか?


撮影してみる

以下の作例は、それぞれクリックで等倍鑑賞可能です。

K_1N1187_DxO.jpg
PENTAX K-1 / AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 (F8)

なんか、エモい写りだ・・中央はしっかりと描写しているようだが、周辺はどうだろうか?ここまで絞っても、けっこう減光している。ここで、すぐに気がついたが、やはり F3.5 クラスのレンズよりは、やや画質が落ちるような気がしてならない。
それは仕方のない事だが、例外のほうを期待した。


K_1N1197_DxO.jpg
PENTAX K-1 / smc PENTAX 135㎜ F3.5 (F8)

純正レンズでも撮影してみたが、やはり切れ味が違う。色もまったく違う感じで撮れた。ただ、ぱっと見の雰囲気は、ALBINARも悪くは無い。


色々と撮影してみる

撮影するといっても、135mm は、ある意味扱いにくいレンズでもある。住宅地とかだと、案外撮る物は少ない。が、何かを確かめるために、わざわざ遠方に出かけるのもおっくうである。というわけで、身近にあるものを撮影する事にする。


ボケ

K_1N1325.jpg
PENTAX K-1 / AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 (F2.8)

個人的に、開放で撮影する事はほとんど無い。というのも、自分の作品撮影としてはあり得ないからだが、ここはテストなので一応チェック。
ボケは、案外悪くはなく、ピント面もきちんと解像している。やはり、コントラストの面では絞る必要があるだろうか?


細部

K_1N1314_DxO.jpg
PENTAX K-1 / AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 (F5.6)

小さな神社に住み着いている猫がいるので撮影してみる。ここに餌を与えに来る人がいるのか分からないが、かなりの確率でここにいる。
オールドレンズは、こういった描写は案外苦手な気がする。マイクロコントラストが低いので、毛の描写はイマイチなことが多い。一応絞ってみたが、思ったよりも描写している。


MONO1116.jpg
PENTAX K-3 Mark III Monochrome / AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 (F5.6)
より細かく見たいので、モノクロ専用機でも撮ってみた。こちらのほうが分かりやすいかもしれない。モノクロ機は、デモザイク処理を行わないため。毛などの細部描写は得意というか、自然に写る。
けっこう描写できているのではないだろうか?




最近 135mm レンズが大好物になった

MONO0898.jpg
PENTAX K-3 Mark III Monochrome / Super-Multi-Coated TAKUMAR 135mm F3.5 (F8)

135mmレンズといえば、PENTAXでは、TAKUMAR 135mm F3.5 が有名かもしれないが、このレンズの描写は結構よい。海外でベンチマークされている事もあるが、性能が良いことも分かってきていて、現代の使用に耐えうる性能を持っている。
しかし、商品価値は低く、1000円程度で入手する事ができることも珍しくは無い。
個人的には、この TAKUMAR レンズに比べて、ALBINAR レンズがどうなのか?ということになるが、案外悪くは無い。中央の解像は近いものがある。ただ、周辺画質に関しては譲るという感じだろう。
smc PENTAX-m 135mm というコンパクトなレンズも結構良いが、smc PENTAX 135mm F3.5 に多くの点で性能的に譲るので、人に譲ってしまった。smc PENTAX 135mm F3.5 は、たしかTAKUMAR と同じ光学系だったと思うが、コーティングが違うのか、写りが異なる。より切れ味が鋭い印象がある。
ともかく、非常に安価で、高性能なレンズを楽しめるという意味では、135mmは面白いレンズだと言えると思う。そういう点では、AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 も多分に漏れない。



作例

MONO1128.jpg
PENTAX K-3 Mark III Monochrome / AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 (F4)





MONO1132.jpg
PENTAX K-3 Mark III Monochrome / AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 (F8)




IMGP8626.jpg
PENTAX K10D / AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 (F5.6)




IMGP8607-1.jpg
PENTAX K10D / AUTO ALBINAR SPECIAL 135mm F2.8 (F4)




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2017年ごろまでアニメーション等の映像作家 その過酷さから病気に倒れ、限界を感じた事から、その後写真作家に転身 イメージフォーラム・フェスティバル、バンクーバー国際映画祭、オーバーハウゼン国際短編映画際、タンペレ映画祭、キヤノン写真新世紀 LensCulture 等で発表。 写真関連は、初の写真作品で、キヤノン写真新世紀2019年度グランプリ受賞。東京都写真美術館で個展、LensCulture Art Photography Awards 2022 LensCulture Emerging Talent Awards 2023 にて Jurors’ Picksなど NHK ドキュメント20min.「蟻(あり)と人間とぼく アーティスト・中村智道」で紹介される 尚、写真等の無断使用はお断りいたします。一言ご連絡ください。 お仕事のご相談など、気楽に、ご連絡ください。 e_mail:nakamura.tomomichi@gmail.com

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