OLYMPUS XZ-2 コンパクトデジカメの力
目次
コンデジに求めるもの
今、2024年2月から十数年前~十年ほど前、各社から多くの高級コンデジが発売された。丁度、スマホが台頭してきたあたりであり、ミラーレスカメラの黎明期でもある。当時、スマホのカメラの性能は、どんどん向上しており、特にコンパクトデジカメに関しては、スマホとの差別化が課題であったと記憶している。そんな中で、センサーを拡大するもの、レンズ性能を向上させるもの、裏面照射型CMOSの登場によりiso感度を上げるもの等、多くのアプローチがあった。結果としては、現在、APS-Cのような大型センサーを搭載するものや、比較的大きな1型センサーを搭載する、ズームレンズ搭載型のコンパクトデジカメ、超高倍率機、あとは、安価で機能が絞られ、操作が簡単なデジカメが生き残っている状態だ。
ただ、写真の個性として、ぼくが要求するものはそれらには無い、それらが出す写真というのは、一眼カメラと類似しているか、画質面で大きく見劣りしており、高画質なものは大型センサーで、コンパクトな一眼代替カメラと言って良いものだ。そうなると、高級コンデジが多く出た、最後の時期のカメラが必要という事になる。その要求として最も重要だったカメラとして手元に置いているのが OLYMPUS XZ-2 ということになる。
1/1.7型センサーによる被写界深度
OLYMPUS XZ-2 クリックで等倍鑑賞可
ぼくがコンデジに求めているのは、被写界深度だったりする。被写界深度というのは、写真のピントが合って見える領域の深さの事だが、上の写真を見ていただけると分かりやすいと思う。一見、合成のようにも見えるがそうではない。極端にパンフォーカスになっているだけで、尚且つ、広角マクロ撮影ということになる。このような写真を一眼で撮ることは困難である事と、小絞りボケという問題から、画質が劣化する。一眼でこういった画像を撮った場合、コンデジ以下の画質になると言えば分かりやすいだろうか?そもそもセンサーサイズもレンズ傾向も、こういう絵を想定していない。この能力が、これから制作しようとしているシリーズに必要なのだ。ボケが少ないから、モノの関係性が作りやすいとだけ言っておこう。
センサーサイズに関しては以下を見てほしい。
センサーのサイズ
うちで使っているカメラのセンサーサイズはこのような感じだ。他にも2/3型センサー機等もあるが、1/1.7型と大きく違わない。1/1.7型のセンサーサイズは、今や一般的なスマホと大差ないサイズでもある。単純な画質で言えば、特殊な例を除けば大きいほど見栄えが良い。つまり、諧調が豊かで、ノイズなどが少ないということだ。ならば、単純にセンサーは大きければ良いのか?といえばそうでもない。センサーサイズは、画質以外にも用途によって使い分けることができるものだ。今回、1/1.7型センサーを取り上げたのも、用途の違いから、大きく個性の異なるものが必要な場合がある事を説明するためだ。以前、マイクロフォーサーズの導入を考えた事もあるが、APS-Cとの個性の差が希薄であり、見送る事にした。言ってしまえば、3.6型の中判とフルサイズ、フルサイズとAPS-Cも、そういう点では個性として大きな差は無いと感じていて、そうした経験からの判断というのもある。
フルサイズ換算で説明される焦点距離
今の世の中で、135フルサイズが主流となった経緯としては、かつての135フィルムサイズと同じで、そこからの割り出された焦点距離というものが一般化されていたからにすぎない。例えば、50mmが標準レンズで、このくらいの範囲が見えるといった感じだ。そこに幻想を抱く人も多かったが、その135フルサイズも、映画規格の35mm規格、今で言う映画における標準的なセンサーサイズ、スーパー35を横に置いただけのものだったりする。フィルムであれば、横に伸ばせるので、3:2 つまり 36x24mm の比率で撮影できるという形だ。そのスーパー35サイズは、APS-Cに近いサイズだ。APS-Cは、当初、一眼にフルサイズを作る技術がない、或いは高価すぎるという理由で、しばらく使われ、その結果定着したという感じだろうか?
コンデジに関しては、説明等で135フルサイズの換算値で焦点距離が書かれているが、実際の焦点距離は、はるかに短く、そのために被写界深度が深い。レンズには 6-24mmと書かれ、非常に焦点距離が短く、フルサイズ換算だと、オリンパスによると 28mm~112mmとなる。
以下から、色々なカメラの換算値を割り出すことが可能だ。
操作系
操作系が充実している事も重要だ。この時期の高級コンパクトデジカメは、一眼同様の操作系が一通りあり、レリーズも使える。XZ-2は、コンパクトである事に割り切っていないので、初心者に分かりにくいとは言っても、ある程度カメラを理解している人には分かりやすい操作系だ。液晶から、メニューを次々と出すまでもなく、絞りやシャッタースピード、iso等を設定できる。これが無いと、制作には不向きだろう。
ホットシュー
ホットシューがあることで、照明を自在に扱えるという利点がある。XZ-2と同じ光学系を持った、PENTAX MX-1 を採用しなかった最大の理由は、ホットシューの有無だろう。こういう点で、XZ-2 は,、コンデジであることに割りきっていないが、今やそこが良いと感じる。
ファインダー
外付けではあるが、EVFがある事はありがたい。電子ビューファインダー VF-2 を使っているが、今でも十分に使える。問題は、ファインダーを付けた時に照明コントロール用のトリガー等を付けられない点だが、それは室内か暗所が多いため、多くの場合は問題にならない。
画質の問題
コンパクトデジカメ最大の問題だと思うが、小さなセンサーのため、表面積が小さく、光の取り込み量で劣ることから、ノイズの多さや階調性能の低さ等、画質に関して劣ることは否めない。だから、高画質に関しては、ラージセンサーが推奨されるわけだが、逆転的発想で、こういった小型センサー搭載の高級コンデジを葬った、スマホの処理を考えてみると良いだろう。そう、AIによる画像処理だ。ソフト的に画質は改善することができる。
DxO PhotoLab という選択
ぼくが使用している商用の現像ソフトは、DxO PhotoLab だ。単純に、ぼくの要求として必要なものを持っているから使っている。まずは、ノイズリダクション能力と簡単な操作性、あとは、DNG出力だろう。もう一つ言えば、高度なレンズ補正だろうか?それらの自動性に特化したソフトで、他のメジャーなソフトとも住み分けできるよう考えらえれていると思う。あと、ノイズリダクションとレンズ補正においては、現在最も進んだ処理をしており、単純に画質が綺麗であることだろう。
現在バージョンは7が出ているが、特に必要な機能が加わっていないので、次のバージョン8待ちといった状態だ。
DxO PhotoLab のノイズリダクション
以下は、XZ-2で撮影したベトナムフォーだが、上は RawTherapee でノイズリダクション無し、下は、DxO PhotoLab でDeepPRIME XD というノイズリダクションをかけた写真となる。
クリックで等倍鑑賞可
店内は暗かったため、かなりノイズは多い状態だ。
クリックで等倍鑑賞可
ノイズは綺麗に無くなり、ディティールも良好だ。階調的にも、一眼に近いレベルになって、余裕で使えそうな画像になっている。一眼で絞った写真に印象が近い。
RawTherapee 等、外部ソフトとの連携
このように外部連携が可能で、エクスポート後は、引き続きDNG形式のRAW現像ができる。元になるDxO PhotoLab の画像処理が優秀であるからこそ意味がある連携と言って良い。RawTherapeeにできる事は、要点に関しては他の商用ソフトよりも多いため、この連携は、かなり有用と言える。個性が違うほどできる幅は大きくなる。例えば同じような個性のものだとしたら、比較対象にはなれど、異なる仕事はできない。比較レビュー程度にしか役に立たないということになり、選択肢は増えない。
ノイズリダクションされた画像が、RawTherapee上で編集可能になった。DxO PhotoLab でも、ほとんどの編集はできるが、できない部分は、他のソフトで編集すると良い。
画像処理技術の進歩で、かつての機種が大いに役立つようになった
パンフォーカス、しかも極端なパンフォーカスが必要なのだけど、画質が・・という問題は無くなりつつあると思う。RAWを保存してさえいれば、今後更に使える画像になる事は間違いないだろう。あとは、これを作品にどう生かすのか?だが、これは現状企業秘密的な問題もあり言えない。
ただ、現在のラージフォーマットとは、また別の使い道が生まれたわけで、今後とも楽しみではある。
まだ、当面OLYMPUS XZ-2 に関しては使っていく予定だ。今後、似た個性のカメラが出ない限りは、たぶん手放すことも無いだろう。
作例
さて、XZ-2で撮影した写真だが、なかなか侮れない画質で撮れていると思う。こういったレイアウトだと、言われなければ一眼で撮ったと思う人もいるかもしれない。現像ソフトは、DxO PhotoLabとRawTherapee を使った形だ。
以下の作例は、クリックで等倍鑑賞可
OLYMPUS XZ-2 / RawTherapee で現像
OLYMPUS XZ-2 / DxO PhotoLab+RawTherapee で現像
OLYMPUS XZ-2 / DxO PhotoLab+RawTherapee で現像
実験 現在の技術で4倍の画素数に拡大してみる
現在のAI技術で写真を4倍の4800万画素に拡大してみた。まだ荒いが、徐々に改善されていくだろう。