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フリーのRAW現像ソフト ART – a folk of RawTherapee を使う

目次

照明使用時の現像の提案

野外の直接光と、室内の照明だと、光の性質が根本的に異なる。多くの人は、色について語るのかもしれないが、そうではない。野外の光源は太陽ということになり、それは非常に遠く巨大であるため、光は、ほぼ平行の状態で届くということになる。対して、室内の照明は近く放射状に拡散しているということになるため、距離によって著しく明るさが異なるという性質を持っている、あたりを確認してみると良いが、数十センチ程度でも明らかに明るさが異なることを確認できるかもしれない。
よって、それを考慮して現像することが好ましいケースが増えるということだ。



まずは、初期画面を見てみる

ART – a folk of RawTherapee の編集画面

今回は、このような画像を編集しようと思う。鳥は、コイネズミヨウムというインコの一種だ。以下を見てほしい。

SDQH0945.jpg
SIGMA sd Quattro H / Auto-Takumar 55mm F2 (絞りF8)

撮影データは、このようになる。Auto-Takumar 55mm F2 という電子接点の無いオールドレンズのため、F値などは反映されない。なので、必要であれば、レンズとF値がどうだったのか覚えておく必要がある。
さて、今回は、特殊なカメラを使用している。SIGMA sd Quattro H は、フォビオンクアトロセンサーという三層の特殊センサーを搭載しているカメラだが、現像できるソフトは限られる。DNGであれば、何でもと思えるかもしれないが、例えば、現行の RawTherapee darktable では現像できなかったりする。X3Fファイルに関しては、もっと厄介で、一番綺麗に現像できるのは、純正ソフトの、SIGMA Photo Pro ということになる。ただし、非常に重く、扱えるパラメーターも少ないため、ART なども編集する上では良い選択肢になり得る。ただ、見ても分かるとおり、初期画面では非常に薄い画像になってしまうのは、やはり対応していないからということになるかもしれない。


現像する

まずは、扱いやすいように画面を広くする

ART – a folk of RawTherapee を開いたところ

まずは、画面の余分な部分を閉じて広くする。




入力画像シャープニングを見てみる

入力画像シャープニング

この、入力画像シャープニングに関しては、本家 RawTherapee で、フォビオンセンサー機のRAWを編集できたとしても、触ることができない。本家の場合は、キャプチャシャープニングという機能名になっている。何故かARTでは普通に自動で制御されている。
見ての通り、等倍で見ても、見事に解像されているのが分かる。オールドレンズでも、適切に使えば、現代のレンズと同じような解像を見せる所も興味深い。



トーンカーブ、トーンイコライザー

トーンカーブ/トーンイコライザー

トーンカーブトーンイコライザーなどを使って全体の明るさや階調を調整する。今回は、ダイナミックレンジを広めに取りたかったので、トーンカーブ1に関しては、自動に任せたままにした。
他の方法もあるので、以下にそれに関する提案をアップする。


他の方法
トーンカーブ内のヒストグラムに注目

トーンカーブ内にヒストグラムが見えるかもしれないが、明るい領域に空きがあることに注目する。フォビオンセンサーの特性に対して対応していないため、このようになっているが、その場合、動画のように間を詰めても良い。




彩度など

raw 増幅(Gain)/ホワイトポイント修正 /彩度/自然な彩度

やはり、少々白いイメージが拭えないため、raw 増幅(Gain)/ホワイトポイント修正などを少しいじってみた。あと、トーンカーブやトーンイコライザーなどでコントラストが上がると、通常は、かなり彩度が上がるのだが、今回は上がらなかったため、彩度/自然な彩度等も上げることにした。




ローカル編集

続いてローカル編集を行う。
ここで注目してほしいのは、写真を見ても分かるが、光源に近いほど明るく、遠いほど暗いという現象だ。方一つ重要なことだが、光源に近いほどコントラストは高く、光源から遠いほどコントラストは低いという現象だ。これは自然界の法則なので覚えておいてほしい。このような事を教えるのは、現状、ここだけかもしれない。

エリアマスク / グラデーションを追加

ローカル編集 / カラー/トーン補正

ローカル編集の、カラー/トーン補正から、エリアマスクを選択し、オンにする。いずれの機能もだが、オンにしないと機能しない。変化がない場合はチェックしてほしい。
グラデーションを追加 を選択し、光源の方向から、マスクが強く反映されるように設定する。
そして、ハイライトを上げ、シャドウを下げるとコントラストが上がるということになる。この効果で、光源に近い位置ほど、コントラストが高く、遠いところほど低いという表現が強調されたことになる。この現象を、コントラストスケールと呼ぶことにする。絵画においても重要な考え方となる。




マスクをローカルコントラスト機能に移植する

ローカルコントラスト

先ほど、カラー/トーン補正で使ったマスクをローカルコントラストに移植する。今のマスクをクリップボードにコピーをクリックしクリップボードからマスクを貼り付けをクリックすると貼り付けられる仕組みだ。
そしてコントラストを上げると、更にコントラストスケールの効果が強調される。





マスクをテクスチャ増幅/シャープニングに移植する

テクスチャ増幅/シャープニング

今一度、マスクがどうなっているのかチェックし、テクスチャ増幅/シャープニングに移植する。当然ながらだが、光源が近い場所ほどテクスチャがよく見えるというのは、自然界でも当たり前の現象だ。
動画を見てほしい。ただし、これはやりすぎるとおかしくなるので加減は必要だろう。




カラー/トーン補正に、新たにブラシマスクを追加する

ブラシマスクを追加

カラー/トーン補正に、新たにブラシマスクを追加する。マスクは、前回のものとは独立して使いたいので、動画のように+タブを押して、必ず新しいマスクレイヤーを追加しなければならない
太さを変えたり、境界のぼかしを使ったりして調整する。詳細は動画を見てほしい。




ブラシマスクの設定

結論としては、この範囲にブラシマスクを設定することにした。





ブラシマスク内を編集する

カラー/トーン補正

動画のように、ブラシマスクの範囲内を編集する。鳥の部分のみを調整するためだ。




ブラシマスクを他の機能に移植して編集する

ブラシマスクを移植

動画のように、ブラシマスクを他の機能に移植して使う。この場合もそうだが、マスクは、前回のエリアマスクとは独立して使いたいので、動画のように+タブを押して、必ず新しいマスクレイヤーを追加しなければならない





フィルムシミュレーション

フィルムシミュレーション

動画のようにフィルムシミュレーションを設定する。これはしなくても良いが、好みの画像にしたい場合は結構有効だ。




今一度、階調などを微調整する

露出タブ

今一度、露出タブなどから、微調整を行う。
納得するところまで調整できたら完成だ。




完成

以下の画像は、クリックで等倍鑑賞可能

SDQH0945_.jpg
SIGMA sd Quattro H / Auto-Takumar 55mm F2 (絞りF8)

とりあえず、ここまでで完成ということにした、以下が元の画像なので比べてほしい。随分と雰囲気が変わったことが分かる。
このような感じで、機能は本家RawTherapeeよりも少ないとはいえ、同程度の編集が可能だ。
ある程度の機能がある場合は、むしろ考え方のほうが重要になる。他の現像ソフトを使用している場合でも、それは変わらない。

SDQH0945.jpg





2025/6/28

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2017年ごろまでアニメーション等の映像作家 その過酷さから病気に倒れ、限界を感じた事から、その後写真作家に転身 イメージフォーラム・フェスティバル、バンクーバー国際映画祭、オーバーハウゼン国際短編映画際、タンペレ映画祭、キヤノン写真新世紀 LensCulture 等で発表。 写真関連は、初の写真作品で、キヤノン写真新世紀2019年度グランプリ受賞。東京都写真美術館で個展、LensCulture Art Photography Awards 2022 LensCulture Emerging Talent Awards 2023 にて Jurors’ Picksなど NHK ドキュメント20min.「蟻(あり)と人間とぼく アーティスト・中村智道」で紹介される 尚、写真等の無断使用はお断りいたします。一言ご連絡ください。 お仕事のご相談など、気楽に、ご連絡ください。 e_mail:nakamura.tomomichi@gmail.com

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