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Super-Multi-Coated TAKUMAR 150mm F4

安いオールドレンズを見直す

以下の画像は、クリックで等倍鑑賞可能です。

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PENTAX K-1 / Super-Multi-Coated TAKUMAR 150mm F4 (iso100 F11)

古い望遠レンズに関しては、色々と思う所もあり、あまり使用対象ではなかったのだが、この Super-Multi-Coated TAKUMAR 150mm F4 で、少し考えが変わったかもしれない。
まず思う所だが、このレンズ、望遠だとしても、F4というのは非常に暗いと思う。この前後のレンズだが、メジャーなのは Takumar 135mm F3.5 と Takumar 200mm F4 で、だとしたらF3.5のほうに合わせれば?と、売りの面では、そのほうが売れそうに思うのだが、暗いほうに合わせてきている。勿論、暗いというのは悪い事でもなく、コンパクトに作れる上に、当時の技術から考えても、設計に無理が無い。
Takumar 135mm F3.5 も 200mm F4 も、時代を考えれば、けっして画質の悪いレンズではないが、けっこうパープルフリンジ的な色収差が気になるところで、あまり使用しなくなっていた。ただ、頻繁に使っていたのは10年ほど前の話なので、再検証も必要だろう。150mm も、それは出るが、ずっと少ないという印象だ。Takumar 200mmには、F5.6 というのもあるが、現在手元にない。個人的には、そのスペックの低さに惹かれるところがある。おそらく画質、特にシャープネスに関しては良いものだと思えるからだ。
レンズというのは、写ってナンボと思うわけだが、ステータスとしてのレンズという文化がある。昔のレンズであれば、標準レンズなどでも暗いほうがシャープに写っている事は多分にあるが、それでも、数字の魅力というものはあったのかもしれない。個人的には同じ値段で、良質の暗いレンズの設定も欲しかった。


Super-Multi-Coated TAKUMAR 150mm F4

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PENTAX K-3 Mark III Monochrome / Super-Multi-Coated TAKUMAR 150mm F4 (iso200 F8)

このレンズだが、売られていても非常に安価な事が多い。これは135mmや200mmもそうだが、数が多いことと、現在人気が無いというのがあるかもしれない。しかし、この写真を拡大してみても分かるが、高い解像性能や歪みの少なさなどを考えても、決して悪いものではない。そして、モノクロでの撮影だが、レンズそのもののフリンジが、他のものほど出ないため、変に輪郭っぽくなることも無い。


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PENTAX K-1 / Super-Multi-Coated TAKUMAR 150mm F4 (iso100 F8)

標準レンズなどに比べると、やや弱いが、色やコントラストの面でもそれほど悪いとは思えない。山の輪郭なども嫌な感じにはなっていない。こうして考えると、何故このレンズが不人気なのかは、よく分からないところだ。しかしながら、不人気なのはチャンスと言えばチャンス。ちょっと外食をする気分での購入が可能だからだ。それに、万単位で新品のマニュアルフォーカス中華レンズを購入する金額で、複数本買えるのも良い。何なら、物にもよるが、せいぜい1万円台ならば、こちらのほうが画質は良かったりもするのだ。


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PENTAX K-3 Mark III Monochrome / Super-Multi-Coated TAKUMAR 150mm F4 (iso200 F8)

今回は、ボケに関しての撮影は怠ってしまったが、開放付近で撮って、それほど画質の悪いレンズではない。きちんとボケるし、時にざわつくが、それほど厄介なものではない。このように絞った状態でも、望遠であることから、近接ならば、十分にボケることは分かる。黒い猫だが、拡大すると、毛も綺麗に撮れている。オールドレンズだと、そういう面ではイマイチなものが多いのだが、これはそうではないのは、それこそ他に対して収差が少ないことも関係があるだろう。ぼくがだいたい絞って撮影するのは、実のところ、それほどボケに興味が無いからと言っても良い。オールドレンズは趣味の道具だと思われる方がほとんどだと思うが、ぼくは実際に作品に使用する。その想定から、まず絞って撮影してチェックをしている。その観点からも、レンズは写ってナンボであり、ステータス性に関してはあまり興味が無い。

そして、こういったレンズが、店頭でも5000円以下で見かけることができる。見つけたときは、手元に置いても良いかもしれない。

2017年ごろまでアニメーション等の映像作家 その過酷さから病気に倒れ、限界を感じた事から、その後写真作家に転身 イメージフォーラム・フェスティバル、バンクーバー国際映画祭、オーバーハウゼン国際短編映画際、タンペレ映画祭、キヤノン写真新世紀 LensCulture 等で発表。 写真関連は、初の写真作品で、キヤノン写真新世紀2019年度グランプリ受賞。東京都写真美術館で個展、LensCulture Art Photography Awards 2022 LensCulture Emerging Talent Awards 2023 にて Jurors’ Picksなど NHK ドキュメント20min.「蟻(あり)と人間とぼく アーティスト・中村智道」で紹介される 尚、写真等の無断使用はお断りいたします。一言ご連絡ください。 お仕事のご相談など、気楽に、ご連絡ください。 e_mail:nakamura.tomomichi@gmail.com

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