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SMC PENTAX 28mm F3.5

PENTAX K-3 Mark III Monochrome の標準レンズとして

PENTAX K-3 Mark III Monochrome を扱っていて思ったのが、このカメラ、非常にマニュアルフォーカスレンズとの相性が良く、何を標準レンズにするのか?と考えていたが、結論としては、この SMC PENTAX 28mm F3.5 というレンズになった。カメラはAPS-Cなので、35mm換算だと、およそ43mmとなり、一応標準域となる。43mmといえば、Limitedレンズ的な画角となるため、PENTAXユーザーにとってはなじみ深い。ちなみにPENTAX 645シリーズの標準レンズの55mmも換算するとこの領域だ。この画角だが、個人的には現代の標準レンズとしては非常に扱いやすいと思っている。例えば建物に入った場合は特にそうだが、50mmだと狭すぎる。卓上を撮るにしても狭すぎると思う。そして広角すぎない。標準レンズは、昔のものを追えば、58mmのものが多かったりするが、徐々に広くなっていった歴史もあると思う。相対的に今の世の中は狭いので、広さが必要かもしれない。スマホなどは広角の28mmほどが普通だが、これが現代の標準なのか?と言われても違和感はない。


銘玉 SMC PENTAX 28mm F3.5

以下の写真は、クリックで等倍鑑賞可能

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PENTAX K-3 Mark III Monochrome / SMC PENTAX 28mm F3.5 (F11 iso400)

このレンズの話に戻るが、SMC PENTAX 28mm F3.5 は、Kシリーズレンズということになる。Kマウント最初期のレンズだ。今から言えば50年近く前のレンズということになる。それ以前は、M42スクリューマウントの Takumar シリーズがPENTAXのレンズだった。Kシリーズで大型化することになるが、ここで光学系を変更したレンズは、質実剛健で非常に画質が良いものが多いような気がする。手元にあるものを比べてみても、後のMシリーズなどに比べると画質が良いものが多い。


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PENTAX K-3 Mark III Monochrome / SMC PENTAX 28mm F3.5 (F8 iso200)

SMC PENTAX 28mm F3.5 の場合だが、当時としても暗いレンズで、大型化された鏡筒もあり、設計に無理が無いためか、非常に画質が良い。むしろ現代的とも言えるシャープさがあり、コントラストに関しても申し分ない。これ以降のレンズとなると、28mmではPENTAXにはこれ以上の画質のレンズは無いように思う。SMC PENTAX-F 28mm F2.8 も、かなりシャープなレンズだが、このKレンズには及ばないと思う。F3.5 というのは、当時安レンズの部類だと思うが、逆にそういった低スペックのレンズを試すのも面白い。というのも、より高級な明るいレンズよりも画質が良いものが多いからだ。最近のような、補正光学系を使わない以上、暗いレンズには意外にも分がある。


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PENTAX K-3 Mark III Monochrome / SMC PENTAX 28mm F3.5 (F4 iso200)

今回の撮影、すべて同じ日に撮ったものだが、だいたいかなり絞り込んでいる。ここでの作例を上げるためだ。もともと暗いレンズなこともあり、さほどボケ量には期待できない。かといって、開放付近で寄ればボケるわけで、そういう使い方ができないわけでもない。開放付近でもピント面は解像しているのは流石という感じだ。


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PENTAX K-3 Mark III Monochrome / SMC PENTAX 28mm F3.5 (F11 iso200)





フルサイズ機での使用

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PENTAX K-1 / SMC PENTAX 28mm F3.5 (F11 iso100)

このレンズだが、フルサイズでも周辺画質が足りないということは無い、あと右上の明るい部分は太陽だが、逆光耐性に関しても、下手な今のレンズよりもある。こういう撮影だと、補正の乏しいオールドレンズだと盛大に収差が出るものだが、これに関してはあるものの、よく抑えられている。最近、モノクロ専用機を扱うようになって気がついたが、ベイヤーセンサー機は、初めからある程度シャープネスがかかっているため、より解像しているように見える、ただし素性としては、モノクロ専用機ほど解像しているわけでもなく、レンズそのものの性能をより正確に見ようとした場合はモノクロ機のほうが分かりやすい。


SMC PENTAX 28mm F3.5 は、間違いなくおススメできる

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PENTAX K-3 Mark III Monochrome / SMC PENTAX 28mm F3.5 (F11 iso400)

SMC PENTAX 28mm F3.5 に関して言えば、オールドレンズの中でもかなりおススメできるレンズだと思う。当時のものとして、スペックに対してやや大きいのは、性能に貢献していると思うし、今やそれでもかなりコンパクトな部類だろう。現代のレンズは、中判レンズのように大きい。
ぼく個人についてだが、意外に思われるかもしれないが、作品にかなりオールドレンズを使用している。現代のレンズも持っているが、コントラストの感じや、一見した見栄えが優れているところもあり、全体感としてよく写っているという印象が強い。このレンズに画角が近い、SMC PENTAX-FA 31mm F1.8 Limited レンズとの比較をすると、ボケに関しては完敗なものの解像に関しては、こちらが上回っているのではないか?


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PENTAX K-3 Mark III Monochrome / SMC PENTAX 28mm F3.5 (F8 iso400)

AFレンズ、或いはAレンズのほうが楽ではないか?という面もあるかもしれないが、個人的には、こういったフルマニュアルのレンズも苦にならない。実は、KレンズやMレンズのような、フルマニュアルのレンズは、少し前は苦手意識があった。自動絞り以外は、M42レンズと変わらない。要はAE機能が無い。ならば、ミラーレス機でM42マウントレンズを使ったほうがマシだと思っていた。ただし、PENTAX K-3 Mark III シリーズから、少し扱いやすくなったのも事実だ。そのため、最近は再びKシリーズやMシリーズレンズの使用頻度が上がった。いや、むしろ楽しい。
実際の作品制作も含め、今後もこのレンズを使っていこうと思う。


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2017年ごろまでアニメーション等の映像作家 その過酷さから病気に倒れ、限界を感じた事から、その後写真作家に転身 イメージフォーラム・フェスティバル、バンクーバー国際映画祭、オーバーハウゼン国際短編映画際、タンペレ映画祭、キヤノン写真新世紀 LensCulture 等で発表。 写真関連は、初の写真作品で、キヤノン写真新世紀2019年度グランプリ受賞。東京都写真美術館で個展、LensCulture Art Photography Awards 2022 LensCulture Emerging Talent Awards 2023 にて Jurors’ Picksなど NHK ドキュメント20min.「蟻(あり)と人間とぼく アーティスト・中村智道」で紹介される 尚、写真等の無断使用はお断りいたします。一言ご連絡ください。 お仕事のご相談など、気楽に、ご連絡ください。 e_mail:nakamura.tomomichi@gmail.com

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