blog,  オールドレンズ

SF7のダブルズーム PENTAX-F 28-80mm F3.5-4.5 PENTAX-F 70-200mm F4-5.6

知人に祖父の遺品のカメラはいらないか?と言われた

知人が、家にいらないカメラがあって捨てようと思う、どうすれば良いのか?と聞かれた。知人の祖父が使っていたものらしく、当時は1カ月の給料よりも高かったという代物だ。頭文字はPだったとの事で、かつてのメジャーぶりを考えると、PENTAXだろうということで、貰うことにした。
この時思い浮かんだのは、PENTAX-Mシリーズか、Kシリーズあたりだが、来たものを見てみると、それらよりも世代が2世代ほど新しかった。そうだ、時間が進んだのだから、現在の感覚で祖父となると、この世代なのかもしれない。押し入れにあったとのことで、レンズは当然ながらカビとクモリで大変なことになってはいたが、あまり使っていなかったのか、それ以外は非常に綺麗なものだった。
本体であるPENTAX SF7に関してはどうするべきだろうか?残念なことにAFが壊れている。うちに既にSF7とSFXがあるが、いずれもAFが空回りするような感じなので持病なのかもしれない。ただ、この世代のレンズやカメラは、やたらと頑丈な気がする。持つとがっしりしているし、剛性感もある。
とりあえず、復活可能そうなレンズに着目する。Fシリーズでは下位グレードとされる白文字レンズだ。これは、PENTAXの当時の子会社である、コスミカ/COSMICAR によって製造されていたらしい。
赤文字の本家PENTAX製のレンズだと、このクラスは非常に写りが良いことは既に確認している。しかし、白文字レンズだと、試さずにどこかに仕舞いこんでしまう人も多いのではないだろうか?ダブルズームの内容は、PENTAX-F ZOOM 28-80mm F3.5-4.5PENTAX-F ZOOM 70-200mm F4-5.6 という内容。SMCコーテイングは無く、モノコートのレンズである。ふと思ったのだが、AF時代にモノコートのレンズは、逆に珍しいのでは?と気になった。構造はシンプルそうなので、レンズを分解清掃することにした。



清掃する

中身は、ほとんど金属であり、廉価バージョンとは思えないほど作りはしっかりしている。鏡筒の精度も高そうで、安心感のある作りだ。これは、後のFAシリーズのレンズよりもしっかりしている。デザインが、もろに80年代ではあるが、このFシリーズは名玉が多い印象がある。白文字のレンズは、多くの場合見向きもされないが、それは上位グレードがある場合は宿命だろう。個人的には、最近モノコート特有の絵が好きな事もあり期待せずにはいられない。




清掃が完了したのでカメラに取り付けてみる

事前の情報で、白文字レンズはけっこう色収差があるとの事だったので、いきなりモノクロで試してみる事にした。これなら、多くの場合は解像と諧調だけ気にすれば良いので、あまり気にしなくて良いだろう。両方のレンズに、イエローフィルターを装着、本格モノクロ仕様である。




撮影してみる

とりあえず、28-80をK-S2、70-200をK-3 Mark III Monochrome に取り付けて撮影することにした。ちなみにK-S2だが、このクラスのPENTAX機は、モノクロが得意な気がする。やたらと感じの良いモノクロが撮れるというか、諧調が豊かである。K-3 Mark III Monochrome に関しては、モノクロ専用機なので、その方向での写真は当然綺麗である。
基本だが、こういった安価なレンズでも、適切な使用をすれば、それなりに綺麗に写るものである。



PENTAX-F ZOOM 28-80 F3.5-4.5

これ以降の写真はクリックで等倍鑑賞可能です。

IMGP8620.jpg
PENTAX K-S2 / PENTAX-F ZOOM 28-80 F3.5-4.5 (45mm F8 iso100)

思った以上に良い。やはり安物だと諦める前に、一度は試すものだと思う。当時のレンズは、フィルム用なわけで、デジタル補正は無い事が前提となっているので、歪みが少ない印象。




IMGP8622.jpg
PENTAX K-S2 / PENTAX-F ZOOM 28-80 F3.5-4.5 (48mm F8 iso100)

先ほどと同じような焦点距離だ。どうやら換算70~75mm付近を好んで使っているようだ。ここはチェックだな。



IMGP8612.jpg
PENTAX K-S2 / PENTAX-F ZOOM 28-80 F3.5-4.5 (80mm F8 MACROモード iso100)

このレンズの難点だが、通常の使用だと、あまり寄れないというかまったく寄れない。お前はレンジファインダー機用のレンズか!?というレベルで寄れない。しかし、80mmテレ端でマクロモードで撮影ができる。




PENTAX-F ZOOM 70-200mm F4-5.6

MONO2587.jpg
PENTAX K-3 Mark III Monochrome / PENTAX-F ZOOM 70-200mm F4-5.6 (180mm F8 iso200)

かなりテレ端に近い付近で撮影したが、予想以上にバッチリ撮れていて驚く。この類のレンズは、だいたいテレ端はかなり弱いものだが、意外だと思う。



MONO2592.jpg
PENTAX K-3 Mark III Monochrome / PENTAX-F ZOOM 70-200mm F4-5.6 (160mm F8 iso200)

どうやら、28-80と意識的に使い分けているのかもしれないが、全体的に望遠寄りで撮影していた。今回は、厳密なテストとしてというよりも、散歩できちんと撮れるかのテストなので、まともに撮れると思われる設定で撮っている。




MONO2600.jpg
PENTAX K-3 Mark III Monochrome / PENTAX-F ZOOM 70-200mm F4-5.6 (200mm F10 iso200)

テレ端の200mmでの撮影。個人的には問題ない。





感想

今回使用した、PENTAX FS7に付いていたダブルズームキットのキットレンズ二つだが、モノクロでは大きな問題も無く使う事ができた。この類のレンズの場合、開放での撮影は期待できないので絞って使っている。こういったレンズでも適切な使用をすれば、なんら問題は無い事が確認できた。
問題はカラーだが、何枚か試し撮りをしてみた結果で言えば、やはり色収差はそこそこ目立つ。それは事前にも分かっていたので、むしろ使える方法で使ってみたほうが良いと感じて、普段通りに撮った。
ここでは、広角側をあまり撮っていないが、試しに撮ってみたところ、それなりに均一性の高い画像で好感が持てる。周辺もきちんと解像しているので、モノクロであれば特に気になる事はなかった。
とはいえ、ぼく自身、最近あまり収差とかを気にしなくなったところもある。収差も含めて写真だという感覚に落ち着いたようだ。それはそれで、作品制作に集中できるわけで、良いといえば良いのだが。

また何か撮影したら、ここにアップしてみようかと思う。

2017年ごろまでアニメーション等の映像作家 その過酷さから病気に倒れ、限界を感じた事から、その後写真作家に転身 イメージフォーラム・フェスティバル、バンクーバー国際映画祭、オーバーハウゼン国際短編映画際、タンペレ映画祭、キヤノン写真新世紀 LensCulture 等で発表。 写真関連は、初の写真作品で、キヤノン写真新世紀2019年度グランプリ受賞。東京都写真美術館で個展、LensCulture Art Photography Awards 2022 LensCulture Emerging Talent Awards 2023 にて Jurors’ Picksなど NHK ドキュメント20min.「蟻(あり)と人間とぼく アーティスト・中村智道」で紹介される 尚、写真等の無断使用はお断りいたします。一言ご連絡ください。 お仕事のご相談など、気楽に、ご連絡ください。 e_mail:nakamura.tomomichi@gmail.com

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です