smc PENTAX-DA L 55-300mm F4-5.8 ED カビ クモリ除去および作例
目次
smc PENTAX-DA L 55-300mm F4-5.8 ED というレンズ
以前、このレンズは、何かのカメラのダブルズームキットに付いてきたのだが、一度手放してしまった。こういったキットレンズとしては、そこそこ写りの良いレンズだったと思うが、なんせ当時はかなりの初心者であり、このレンズの真価は分からなかった。今でこそ、こういったレンズも、適切に使えば、かなり使い物になるということは理解しているが、当時は、単純にキットレンズなのだからイマイチなのだろう、もっと良いレンズがあるはずだと、もう少し上位のレンズと引き換えに売ってしまった。これは、今でこそ後悔なのだが、写りの良いレンズというものはだいたい重たいものだ。軽い割に写るレンズというものは、今になってありがたいと感じるようになった。
高価なレンズは、これに対して数倍から十数倍の値段であることが普通だ。では、十倍写るのか?と言われるとそんな事はまず無い。いくらかの画質の向上のために、少しでも高いレンズを買うというのが、レンズ交換式カメラの怖いところでもある。いわゆるレンズ沼というやつに浸かってしまうというやつだ。
当時は、散歩のために、少しでも良いレンズをと思っていたものだが、作品を撮るようになってからは、逆にそういうのを気にしなくなった。普通は逆だろうと思うかもしれないが、そうなってしまった。適度な画像の粗さを好むようになったからだ。人に頼まれて撮る場合は、そこそこのレンズを使うのだが、自分のものを撮るのは、とても質素になった。
このレンズの美点といえば、キットレンズではあるが、金属マウントの smc PENTAX-DA 55-300mm F4-5.8 ED と同じ光学系ということになると思う。いくらかの機能は無くなっているものの写りは同じだ。
他社にもある、55-300mmレンズではあるが、このレンズの写りは、他社のそれよりもやや優れているという印象があった。PENTAXというメーカーは、こうしたコスパの良いレンズに関しては、やたらと得意という印象がある。F4-5.6と明るくはないが、300mmまであることを考えると暗くもない。ただ倍率を考えるとどうだろう?売りのためではあろうが、光学的にはやや無理はあるのかもしれない。
カビ、クモリ有りで外観の綺麗なレンズがあったので、とりあえず遊べるかな?と思って購入してみた。
分解・清掃
とりあえず分解清掃を・・もしやる場合は、自己責任で。
PENTAXのレンズの修理の基本だが、この箇所の二本のネジをまず外す。
このように、ガムテープ等で、電子接点がきっちり付くように貼り付ける。そして、他のネジも外す。
このように、接点ごと、バネ類もついてくる。これがバラバラになると、組むのがかなり厄介である。あと紛失率も高い。
バネの矢印側を外す。そして、金具部分を外す。バネは無くならないようにとっておく。
ネジをすべて外す。バネの下にも一つ隠れている。
これで、この部分が外れる。
外すとスペーサーが出てくるので、無くならないようにとっておく。
鏡筒の前部分を引っ張ると外れるようになる。この時、位置関係を覚えておこう。線の部分は、このレンズの丁度真上部分になる。
これでレンズ群が外れたのだが、ここでも位置関係を覚えておこう。そして鏡筒前部を取り外す。
前玉部分が外れた。
この部分にカビがあるのだが、裏側から取り除くことができた、ラッキーである。
綺麗になった。
次は中玉部分、曇っている。前面にシールが貼ってあるので、これを内側からマイナスドライバーなどを使って剥がす。また使うので無理やり剝がさないこと。
三か所のネジを外すとこの部分が外れる。
中玉部分が外れたが、プラスチックパーツに熱カシメされている。
ヘラを使って剥がしてみた。
周辺を落とすことで外すことができた。比較的綺麗にできたので、クモリを拭き取った後にそのままはめてみるとパチンと上手くはまった。
再び、中玉パーツをはめ込むのだが、このようにレンズサッカーなどではめ込むと上手くはまる、このくらいはめ込んだ後に少し回すと上手くはまる。
全体を綺麗に掃除してはめ込む。
こうしてまたはめ込むのだが位置関係は見ておいたほうが良い、あと溝などはまるべくしてはまるようになっているので、理解するまで観察しよう。
リア部分を付けていくのだが、ネジを緩く締めた後に、スペーサーをはめ込む。
すべてのネジを付けて適度に締める。
金具をはめ込み、バネをこの位置に乗せる。
マウント部分のネジを取り付けて、ガムテープを剥がすと完了である。
レンズのメンテナンスが完了した。
カメラに取り付け、どんな感じに写るか見てみる
直したレンズをモノクロ専用機PENTAX K-3 Mark III Monochromeに取り付けてみた。デモザイク後のベイヤーセンサーのようにアンシャープマスクがかからないので、レンズの素性が非常に分かりやすい。
以下の写真以降、すべてクリックで等倍鑑賞可
広角端だが、周辺以外の解像は十分と感じる。普通に使えそうだが、少し画素数が多いかもしれない。このレンズだと1600万画素ぐらいが適度なのかもしれない。
2000万画素ベイヤー機、PENTAX K-S2での撮影、少し画素数を下げただけでも、周辺はかなり良い。
少しばかり作例も撮ってみようかと思う。
作例
感想
smc PENTAX-DA L 55-300mm F4-5.8 ED の絵だが、やはりキットレンズとしては十分に良い。この他テストも行ったが、だいたい200mmぐらいまでは十分な解像感があった。300mmだと少し柔らかい感じはするが使いようだろう。
このレンズの解像そのものだが、やはり1600万画素以下で適切な感じに解像するのではないかと思われる。というのも、CCD時代の設計であり、当時は1000万画素以下が普通であった。やや余裕を持たせたことで1600万画素程度なら周辺まで上手く解像する設計なのだろう。ただ、この類のレンズとしては十分であり、中央に関しては、2600万画素クラスでも大丈夫そうだ。
このレンズがモワっとして綺麗に撮れないという人は、1段~2段絞る事をおススメする。安いレンズが開放から綺麗に撮れると思わない方が良い。
非常に軽いので苦にならないため、望遠は使わないが、念のため持っていこうという場合は良い選択かもしれない、なんといっても軽いと思う。
ぼく自身は、念のためと言わず普通に使うと思う。今後が楽しみである。