CASIO EXILIM PRO EX-P600 の内臓電池交換および作例
目次
CASIO EXILIM PRO EX-P600 というカメラ
EXILIM PRO EX-P600は、今はデジカメから撤退しているカシオが開発した、フラッグシップデジカメという位置づけで、2004年ごろのカメラという事になり、この記事を書いたのが2004年である事を考えると、20年前のカメラという事になる。
デジカメにおけるカシオだが、実は老舗のような感じではなく、いち早くコンシューマー向けデジカメの開発を始めたという意味では、パイオニア的存在という事になる。老舗というのは、案外保守的なもので、最近ではフルサイズミラーレスカメラへの参入が遅かったというのがある。そんな感じで、カシオがデジカメを始めたころは、プロはフィルムカメラが普通だったし、それが画質で上回るので、当然ながら参入は遅かった。
特に、カシオのデジカメに興味があったわけではないが、廃品として出てきたカメラの中にカシオのデジカメがあり、調べてみると、1/1.8型という大型のCCDセンサーを載せていた。その機種は、QV-R40 という小さなカメラだったが、予想外に画質が良く、カシオのカメラに興味を抱くに至った。
そんなわけで、XDピクチャーカード仕様で、今は扱いにくいFUJIのコンパクトカメラF710を売却して、その代わりにこの機種をジャンクで購入した。問題点は、内臓電池(コンデンサー)の問題だが、最近、何機種か修理の経験もあることからこの機種も直せるだろうと購入することにした。
本体を見ると、ファインダーが光軸上にある事に注目していただきたい。これが購入の決定打となった。ぼくは、最近老眼であり、GRシリーズのようなファインダーの無いデジカメも良いが、液晶に何が写っているのか見にくくてストレスなのだ。そんな感じなので、こういった光学ファインダーはありがたい。そして、光軸上のレンズに極力近い位置にファインダーがある事から、普通に横構図で写真を撮る場合のパララックスは少ないということになる。視野率は少々狭いが、何枚か撮ると、感覚的にどのくらいの範囲が写っているのか分かるようになる。ファインダーは、レンズと連動して、きちんとズームする。レンズは、コンパクトとしては比較的大きく、換算33mm~132mm F2.8-4のCANON製のものが搭載されている。このレンズの大きさと、シャープ製1/1.8型センサーという、当時のコンパクトカメラにおいて大型だったCCDセンサーとの兼ね合いで写りに期待できる。
このカメラの操作系だが、他社に比べて、特別良いとは思えない。とは言っても、コンパクトカメラという限られたサイズの中で、扱いやすい操作を行うというのはデザイン的には難しいものなのだろう。操作系に関しては、ある程度大きな一眼レフカメラが一番良かったという印象がある。
このカメラ、PROを冠しているが、記録はJPGとTIFFという、当時ありふれた方式だ。TIFFがややダイナミックレンジで優れているように感じたが、記録は遅く、それが終わるまで次の撮影ができないという難点がある。あと、2GB程度のSDカードしか使えないので、記録枚数も限りがある。RAWがあるほうが合理的と思えるが、それが無い。ここは、ポイントとしてはマイナスかもしれない。
内臓電池(バックアップ用コンデンサー)を交換する
とりあえず、修理してみるが、修理をされる方は自己責任で。
まずは、裏側のネジ4本を外す。
右側4本のネジを外す。
左側2本のネジを外す。
上面1本のネジを外す。
背面が外れた。
この小さなコネクタを外す。
こちらにも同じようなコネクタがあるので外す。
この部分も上に引っ張ると外れるので外す。
このシールをはがす。
このネジを外す。
この部分のネジを外す。液晶が少し持ち上がるので、外すことができる。
矢印の二本の配線をはんだごてで外す。
ひとまずは、それぞれを外した状態だが、ここから前面を外すことができる。けっこう苦労するかもしれない。強引に外さない事。
前面を外した。個人的には、ここで時間保存用の内臓電池(バックアップ用コンデンサー)がある事を期待したが、残念ながら、もうひと頑張りが必要だ。
矢印のコネクタを外す。
このネジを外す。
レンズユニットが外せた。
このコネクタを外す。
矢印の二本のネジを外す。これで基盤をめくる事ができる。
基盤をめくると内臓電池(バックアップ用コンデンサー)があったのだが、なんという位置。あと、壊れているどころか腐食している。こんなのを見たのは初めてだ。放置していたら、他の部分にも影響して決定的に壊れてしまうかもしれない。
とりあえずはんだの接点を上手く当てられないので、わりと強引な外し方をした。
同じ形状の内臓電池を持っていないことと、あっても形状的に取り付けられないので他の形状のものにした。手持ちのELNA DCK-621 3.3V 0.22F 電気二重層コンデンサーを取り付けた。とりあえずだが、+-が間違っていなければ、これで稼働する。
あとは、元通り組みなおせば終わり。
組みなおしが完了した。電池を外しても、日付がリセットされることはなくなった。
とりあえず、小休止してから撮影に行ってみようと思う。
無謀な中判CCD機との比較
ふと思ったのだが、CCDのフルサイズ機はほとんど無い。まったく無いわけではないが、あまりにも一般的ではないような気がする。そこでとりあえず、ぼくが持っている中では最強のCCD機であるPENTAX 645Dと画像の傾向を比較してみた。645Dは、ぼくが持つ中では、フルサイズ、中判含めても風景においては最強ではないか?と思っている。そういう意味では無謀としか言いようがないが、昔で言うところの、大判写真と35mmフィルムによる写真との比較のようでもあり面白いと思う。ぼく個人の意見ではあるが、デジタルの場合はフィルムほど画質に差が出ないというイメージがある。というのも粒子のサイズが、物理的サイズではなく、画素数に依存するところがあるからだ。
上記の二枚は、EXILIM PRO EX-P600とPENTAX 645Dの写真なわけだが、どちらがどの機種で撮影されたか分かるだろうか?
色味に関してだが、朝焼けは短時間で目まぐるしく色が変わるので、その点も考慮していただきたい。
いずれもクリックで拡大できる。
作例
以下の画像はクリックで拡大します。
感想
CASIO EXILIM PRO EX-P600 は、思った以上に画質が良く、正直現行の安価なデジカメよりも画質は良いと思った。主な原因はレンズにあると思うが、当然ながら如何にレンズが重要かは、レンズ交換式のカメラを使っている人からすればご存じの通りだ。iso50が基準なのも良い。当然ながら現行の安価なデジカメよりも高感度性能では劣るが、その分1段レンズが明るいと思えば、その差は縮まるだろう。夜間もバンバン撮れるかといえば、それは無理だ。少なくとも三脚の使用が必要になるだろう。
サイズはやや大きめで、その分重いが、気に去るレベルではない。主に高さによるものだが、その分、ファインダーが付いていると思えば、個人的にはプラス面のほうが大きい。
最近のレンズ交換式カメラは非常に重く、レンズが巨大化したため、手首への負担が大きい。そのため、正直撮影が苦痛になってきていたが、あらためてこういった機種を使うと撮影が新鮮に感じられた。まったく苦痛がないのである。
こういったカメラは、オートでいつも綺麗に撮れるというわけではなく、各種設定で適切な撮影をすると威力を発揮する。そういう意味では、マニュアル操作もあることから、撮影の上達にもなるだろう。
個人的には、カメラ任せだけの機種だと思うように撮れないので、こいったフラッグシップモデルがあったというのは今を思えばありがたい話だ。