AUTO ALBINAR SPECIAL 35mm F2.8 / K mount
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AUTO ALBINAR SPECIAL 35mm F2.8 というレンズ
さて、このレンズについて何か語ろうと思ったが、正直分からない・・SamyangがALBINARブランドと同じようなレンズを何種類か出している点から、その疑惑もある。LENS MADE IN JAPAN とあり、PASSEDシールが貼ってあるが、そこは時代的にも怪しいものがある。当の日本も、当時は、今の中国のような感じで、謎のOEMメーカーが多くあり、同じようなものが別名で多く出回っているから、韓国Samyangも、そういった謎の国際的OEMメーカーの一角だったのかもしれない。協業していた可能性もある。仮に、Samyang製だとすれば、過去からまずまずの技術を持ち、今では高度な技術を持ったメーカーでもあり、意外に良い可能性もある。本体には、AUTO ALBINAR と書いてあるが、箱には Super ALBINAR と書いてある。とりあえず、本体の名前を信じる事にした。それとも、Super AUTO ALBINAR という名前だろうか?
いや、ネットでたまたま見かけて、見たことないという好奇心からポチってしまった・・状態は、結構よい感じに見えたのだが、残念な事に、ほぼ全域でクモっていた。。そんな事は書いていなかったが、そこはご愛敬だろう。ネットでこういう中古を買う場合、細かい事を気にしていてはキリが無い。細かい人は、店で買うことをおススメする。
その後、自前で修理をしたが、あまりにもマイナーレンズなため、誰かが修理の仕方を見るわけでも無さそうで割愛する。一つ注意するとしたら、レンズ後群のレンズを外すとき、バラバラと落ちてくるので、順番、上下を間違えぬよう。構成は5群6枚だった。一番後ろが合わせガラスで、ここのバルサムは無事だった。レンズの明るさを考えれば、少しばかりレンズの構成数が少なく、補正に不安がある。
この時代のレンズに言える事だが、金属製で、ビルド品質は高い。純正レンズに見劣りしない出来栄えだ。サイズはやや大きめではある。一応、ネットでどういうレンズなのか調べてみたが、海外を含め、まともな情報が無い。少ないながら、M42マウントのものは、ちらほら見られる。
ALBINAR というブランドをまったく聞いたことが無いというわけではないが、28mm F2.8 の周辺画質が悪いという事、8mm魚眼レンズが現在でも売られている事ぐらいしか知らなかった。28mm F2.8 や、135mm F2.8 に関して言えば、フォーラムの情報を見る限りにおいては韓国製である。VivitarやTokinaのものと同じという情報もあるし、Vivitarにはcosinaバージョンがあるなど、とにかく、オールドレンズというものは、OEMでよく分からない事になっており、銘柄=そのメーカーが生産したとは言えない所がある。
昔の広角レンズは、あまり画質の良いものは多くない。だから、期待もしていない。ちなみに、このレンズ、コーティングがあまりツヤツヤしていない。こういうレンズは以前もあったな・・そうだ、Carenar 28mm F2.8 とかがこんな感じだった。あれもイマイチな写りのレンズだった。しかし売ると意外にも高めで売れた。もしかしてエモさとかをねらって撮影してる人がいる?Carenarは、確かペトリとか、あのあたりのOEMだったような記憶が・・そうなると、このレンズとかも、どこかのOEMの可能性がある。今の中華レンズがそうだが、どこかが作ったOEMに、銘柄を入れているレンズは意外にある。ぼくは、そういうのに興味があって、ノンプリントの原型のレンズも持っていたりする。
とりあえず撮影してみる
以下の写真以後の作例データは、クリックで等倍鑑賞可能です。
フルサイズのK-1で、F11まで絞って撮影してみた。第一印象だが、予想よりはずっと良い。いや、むしろ良い。少なくとも、中央付近の解像は立派である。画質の均一感に関しては、Takumar 35mm F3.5 に及ばない。当然と言えば当然で、当時のレンズは、設計に無理が無い暗いレンズに分がある。F3.5の広角レンズは、比較的良質な画質のものが多い。このレンズの写真の四隅を見ていただくと分かるが、極端に解像度が落ちている。
一つ言うと、この35mmレンズは、KマウントのAPS-C機用に35mmレンズを探していて、たまたま見かけたものだ。つまり、APS-C機の標準レンズとして購入した。本当は、smc PENTAX 35mm F3.5 を探していたが、このレンズもかなりレアだ。ともかく、F2.8のこのレンズでも、この範囲内を解像しているならば、APS-C用としては合格だろう。
実のところ、全体感で見れば、フルサイズでも使いようだろう。ある程度離れれば、隅の解像も近接より良いようだ。このくらい写れば十分では?という人もいると思う。あと、意外にエモいのでは?というところもある。周辺減光も含め、エモい要素は色々とある。
エモいと言えば K-7
APS-C で、標準レンズとして使うならば、深めのレンズフードの装着が可能だ。逆光に弱めのオールドレンズでも、多くの状況でコントラスト高めの画質を得る事が可能だ。
ちょっと前に、若い連中が、エモさを求めて、オールドコンデジ等で楽しみ、現在に至るという感じらしいが、一眼レフでも、PENTAX K-7は、そういう意味では、かなりエモいと思う。
登場時には、色々と批判もあった、感度の弱いセンサーだったが、発色が独特で、他に類を見ない色気のある画像を吐き出す機種でもあった。当時の評判から、今では安価で売られているが、この機は、ある意味 CCD 機よりも、ずっと個性のある絵を撮ることができる。
一日という時間は短い・・何かを撮ろうと思っても、すぐに夜になってしまう。仕方がないので、夜ご飯の買い物に行くついでに撮影することにした。
う~ん、相変わらず青い画像、色々なシーンで、極端な方向に色が流れるカメラなので面白い。この傾向は、RAWで撮影しても変わらない。
実のところ、2000~2010年ぐらいまでのカメラは、色々な意味で安定していなくて、特にセンサーはそうだった。あと、色々な実験的試みがあった。それ以降のセンサーに関しては、現在とほとんど同じだ。画素数の違いはあれど、絵的な傾向は、ほとんど変わっていない。どれもよく似ている。
ところで、この写真、空に変なものが飛んでいる。昔よくUMAとして紹介されてたものに似てるいる気がする。
このレンズ自体、どことなくフィルムっぽく撮れる傾向があるが、K-7と組み合わせると、よりその傾向が強くなる気がする。何が理由か分からないが、低めのダイナミックレンジと、なんとなくのもわっと感がそうさせるのかもしれない。
翌朝、早朝でまだ薄暗かったが、開放で花を撮影してみた。これが最短距離での撮影だ。およそ50㎝ぐらいだろうか?指標だと40cm代後半だが、感覚的には50cmに近い感じがした。標準レンズとして使うならば、一般的な距離だろう。
解像は、ピント面は意外にもきちんとしている印象。ボケは、ぐるぐるしかけてはいるが、極端ではない。この年代のレンズとしては、特に特徴的な要素は無さそうに見える。
逆光耐性はこんな感じだ。この時代のレンズとしては、まぁ普通のレベルかもしれない。富岡とかの単コーティングレンズとかに比べると、幾分良いぐらいだ。こういう点では、PENTAX の smc コーティングは異常とも言える逆光耐性だろう。
モノクロ専用機でも撮ってみる
まだ使い始めで、はっきりと傾向は分からないが、このレンズ、やたらとコントラストが高めに撮れるときと低めに撮れるときがある。状況の一つとしては、こういった状況なのだろうが、電気光だとその傾向が強めに出るような気がした。あと、建物に入っている事も関係するかもしれない。だとすると、前玉のコーティングが強い光に弱い事も考えられるが、それだけとも思えない。
実は、この写真を撮った後、このレンズの方ボケに気がついた。その後調整して、今は片ボケは無いので、K-1の写真は、調整後の写真となる。
モノクロ専用機だと、ローパスフィルターが無いこと、デモザイク処理が無いことで、このレンズの実際の解像度がより分かる。極上の光学ではないが、それほど悪いわけでもない。このレンズの光学設計が、M42マウントの時代だったとして、その当時の広角レンズの事を考えれば、周辺画質も十分に許容できる。PENTAX の Takumar レンズも、28mmとかはイマイチだと思うし(特に無限遠)、35mm は2/3段暗い事を考慮しなければならない。
今回は撮っていないが、このレンズは多分にもれず、逆光耐性は低い。現代の、安い中華レンズを想像していただくと分かりやすいかもしれない。周辺画質のレベルも同じぐらいだ。考えてみると凄い事だが、しかし、当時の時代換算でレンズの値段を見る必要もあるだろう。今のほうが技術はあるだろうが、硝材の値段に関してはどうだろうか?そこは割り引く必要はあるかもしれない。