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DxO Photolab + darktable でRAW画像編集
目次
darktableがバージョン3.8.0になっていた
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気がついてみたら、フリーのRAW現像ソフトの代表的存在の一つであるdarktableが、 darktable 3.8.0 とバージョンアップとなっていました。とりあえず、フリーソフトは、RawTherapee 系をよく使うわけですが、高度なマスク処理を行う場合は、darktable を使う事もあります。
というのも、このソフトの美点は、ローカル編集、つまりマスク編集の柔軟さにあります。
ただし、レンズプロファイル等、貧弱な部分や、最初に出てくる色が変だったりで、躊躇するところもあります。
この欠点の一部ではありますが、DxO Photolab を使用して、あらかじめレンズ補正やノイズリダクションをしたDNGファイルを転送して、darktableを使うという事は多々あります。
ただ、問題があって、どんなに元の DxO Photolab を使っても、そこで編集した色は、かなりいい加減な形で初期表示されてしまうのが、今までの darktable の悲しい点でした。
今回は、 darktable 3.8.0 とバージョンアップしたこともあり、その点も含め、どのくらい改善しているのか?に期待したいところです。
darktable を DxO Photolab と連携させる
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まずは、 DxO Photolab でRAW画像を開きます。今回使用するカメラは、CANON EOS R 、レンズは、RF 24-70mm F2.8 L IS USM を使用します。
このソフトの、初期画像は、非常に出来が良いと思います。レンズ補正も特に優秀で、ノイズ処理が非常に得意なので、重宝します。
ならば、全部このソフトでやればいいじゃんと思われるかもしれませんが、このソフトのコンセプトは、自動化のようで、誰でも綺麗な画質を楽しめる反面、細かいパラメーターを自分で操作するという面は苦手です。
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こうして見ると、RAW画像を開いた時点で、 DxO Photolab だと、かなりダイナミックレンジ等の点で改善されているのがわかります。
とりあえず、背後の空を白飛びさせたくはなかったので、こういう設定で撮影しています。
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とりあえず、DCPプロファイルを今回の写真に合わせます。これで、かなりメーカーに忠実な色再現になります。
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DxO Photolab は、色々な画像処理ソフトやRAW現像ソフトとの連携が可能です。これで、 darktable にエクスポートします。
darktable にエクスポートしたが・・
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元の画像はこうなのですが・・
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なんか、眠い画像だし、ダイナミックレンジ広めな表現は良いとしても、彩度も低いし、色も全然違わね?
やはり、この点の改善はまだのようです。あと、そのままのRAWファイルを取り込んでも眠い絵になります。レンズ補正されている分、まだマシと考えるべきでしょう。何といっても、 darktable のレンズ補正は、新しいレンズには、だいたい対応しておりません。
しかし、朗報です!なんと darktable 3.8.0 は、日本語対応しておりました。なんか、お帰りという感じです。
わりと上手くいく例もある
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PENTAX K-1 だと、案外上手くいきます。
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なぜか、こちらは、かなり上手くいきます。しかし、PENTAX機だから上手くいくというわけではなく、645系では、EOS R 同様、眠い絵になりました・・
ここではアップしませんが、PENTAX K-1の処理を、このやり方でやると、最強でした。前回紹介したRAW現像ソフト、ART も問題になりません。
気を取りなおして編集、重要なのは豊富なパラメーター、そして考え方
darktable の美点といえば、その豊富なパラメーターと、そのほとんどに適用されるマスク機能にあります。この点があるだけでも、このソフトを使用する価値はあります。あと、これだけ高度な機能を持ちながらもフリーなわけで、興味のある方は是非使ってみることをおススメします。
ここで、ぼくの教室の受講生向けの文章を書きますが、パラメーターの使い方は、ぼくの絵画教室に来ている人なら、ある程度分かると思いますが、つまるところ、あの光の再現と同じ考えで構築していく事で、絵は破綻しなくなります。あり得ない構造の光は、意図が無い場合は、むやみに使わないことにします。そこを理解できれば、あり得ない光もコントロール可能になると思います。カメラのダイナミックレンジは、人間の視知覚のそれと比較して、遥かに劣る点も考慮してください。カメラには見えていない階調も存在するということです。
室内、および、日景に関しては、光源および拡散光に対して、コントラストスケールを作り出すことにより、存在が豊かになる事を少しばかり意識してみてください。
豊富な機能
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使える処理だけでも、これほど沢山あるわけですが、これらのほとんどにマスク機能が使用可能です。更に、そのマスク機能そのものも、細かく設定が可能です。
編集を始める
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今回の写真においては、とりあえず遠景の空に白飛びしてほしくありません。というわけで、全体的にアンダー気味に撮影しているわけですが、そのハイライトに限りなく近い部分だけを残して、まずは編集していきます。
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マスクを、どのような形で透過させるかも設定可能です。
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今回は、かすみ除去のインスタンスを増やし、奥行き感を出す事にします。
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前方は、かすみを除去、遠景には逆にかすみを入れていくという方向で編集していきます。マスクの形状は、スプライン編集で微調整可能です。
今回は、かすみの枚数は3枚程度にしました。手前と中間域と遠景という構成です。遠景は、更にコントラストも下げました。
高架橋の下に公園という特殊な環境で、光の構造は、それなりに複雑です。
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描画マスクとパラメトリックマスクは、同時に使う事も可能なので、こういった事もできます。
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暗部が暗すぎるので持ち上げます。ただし黒潰れしている個所は諦めるしかありません。ややぼかしを入れることで、黒潰れ箇所は、スムーズに変化します。
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グラデーションマスクで、近景のローカルコントラストを上げていきます。
LUT 3D (フィルムシミュレーション)
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個人的には、上記のように、 HaldCULT をProgram Files / darktable 内に納めております。
HaldCLUT に関しては、前頁の フリー現像ソフト RawTherapee 後継?派生? その名もART/フィルムシミュレーション に説明を書いています。
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この作業は、実のところ、編集初期にしておくべきですが、書き忘れていたのと、今回は使用しなかったので、補足として書いておきます。RawTherapeeより面倒くさいですが、普通に使えます。
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HaldCULT を適用した例です。
以下に、更に多くのシミュレーションを使いたい方向けのリンクを貼っておきます。
その他、色々な個所を編集したので、描き出すことに
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編集が終わったので描きだす事にします。ここでは、16bit TIFF の非圧縮画像を出します。この画像をシームレスに他の画像処理ソフトに出したいですが、、そこは darktable には出来ない機能です。その点では、RawTherapee 系のソフトのほうが、よく出来ています。 darktable というソフトは、補佐に回った時に力を発揮するという印象があります。
描き出された画像
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とりあえず、夕方という感じで描き出してみました。以下は元の画像↓
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随分と変わりました。
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なんだかんだと触って、RAW画像編集した写真です。クリックすると、等倍鑑賞可能です。
darktable というソフト
darktable というソフトの美点は、パラメーターやマスク機能など、細かい設定が可能で、どこまでも追い込めるところです。その点だけを見れば、フリーソフトでは最強の部類でしょうし、他の商用ソフトのサブとしても優秀です。このソフトでしか出来ない編集というのもあるので、無料という事もありますし、是非おススメしたいソフトです。
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