blog,  映像日記

ぼくの中の伝説 小口容子

小口容子プレゼンツ 変態まつり

ぼくが、表現に疲れて、これでやめようと思っていた30代、ぼくに救いの手を差し伸べてくれた人が、小口容子さんだった。イメージフォーラム・フェスティバルの授賞パーティーでの話だ。
ぼくは、その舞台を最後に、表現の世界から去ろうと思っていた。そんな中、受賞者たちに「画像処理だけの作品に興味はない」とバッサリ切り捨て、グランプリ受賞者もつまらないとぶった切り、今年はどうしようもないと唸っている女性がいた。それが、前年度のグランプリ受賞者の小口容子さんだった。彼女にとって、ぬるく、人生を踏み外すような勢いが無い作品は作品ではないのだ。
ぼくも怒られるのかな~・・最後の舞台なのに残念だ・・と思っていたが、意外にもぼくには優しい言葉をかけてくれたのだ。「ぼくに声をかけてくれるのか?もう終わってるぼくに?」ぼくの作品だけが、彼女の琴線に触れたらしい。そして、面白いからということで、そのまま彼女の自宅に連れ帰られた。家に入ると、フェラチオする女性の絵画が飾ってあったのが印象深い。
その後すぐ寝たわけだが、ぼくは彼女の隣に同じ布団で寝る事になった。それが小口さんとの出会いだった。

実際に、ぼくが彼女の作品、衝撃のデビュー作「エンドレス・ラブ」を見たのは、その翌年だったと思う。ピアフィルムフェスティバルで、上の人が、内容を見ていたら通していなかったといういわくつきの作品だ。
今の感覚で言えば、その作品は技術があるわけでもないし、構成もどこかに飛んで行っていて、上手いとは言えない。下手な作品なのかもしれない。ただ、彼女の街の中を走り抜けながらの咆哮、暴力と札束とSEX。「映画は虚構だ!」と叫びながらSEXする。現実と虚構によって構成された映像は、ぼくの中に眠る何かを引き起こす力を持っていた。家の恥だと言いながら彼女をののしる両親を撮り続ける、そして、カメラごと殴られる。それを撮り続ける。それは、まぎれもなくドキュメンタリーだった。ぼくは、にんまり笑いながら、涙を流した事を覚えている。苦しい事や、抑圧からの解放、いや破壊とでも言おうか?それを彼女は表現していたのだ。ぼくには、そんなことはできない。無駄なプライドのせいなのだろうか・・つまらない美術の理屈で作っていたぼくに、表現の核というものを剥き出しにして教えてくれたのだ。彼女は語らないが、彼女は本当の意味でのフェミニストだった。そして、情の深い、懐の深い人だった。彼女を慕う男性は多い。精神的には、完全にぼくの上を行く人だったのだ。
彼女の表現をゲテモノ扱いしたり、目を背けたりする人もいたが、それほど皆、美しいだけの人生を歩んできたのだろうか?実際の人生というのは、実のところ痛々しいものなのだと思う。そうだよなと思いながらにんまりする。

映画への愛憎、反発、反芸術、そして現実と虚構から作り出される真実、要は彼女が表現したいものの本質の描き方というものは、たぶんぼくも引き継いでいる。アニメーション時代には無かったが、今は引き継いでいる。ぼくは、もっと頭でっかちなのかもしれないが、たぶんそうだ。見た目はまったく似ていないが。ぼくは、それを哲学体系として組もうとしている。ただそれだけの違いだろう。
写真新世紀での、Rineke Dijkstra氏、LensCultureでのANNA DANNEMANN氏も、ぼくの作品における現実とファンタジーによる構成という指摘からもそれは伺われる。ぼくも、言われてみて気がついた事だ。それが、ぼくの作品の特徴にもなっている。

ぼくは、今は、白い世界にいる。ホワイトな世界と言ったほうが良いのだろうか?その中の、薄い影だ。ほとんど写真ばかりになりつつあるが、ぼくは、ずっと、ぼくが作る映像作品を彼女に見てほしかったのだ。

本来、映像作家で、アニメーションなどを作っているはずでしたが、あまりのしんどさから体調崩して病気になり、とてもじゃないけど、アニメーションなど作れない状態に陥り、現実逃避から、流れに流されて写真などを撮ってストレス発散している次第であります。 基本的にテーマなどなく、その日の気分で撮った写真とかをアップしたり、たま~に日の目を見なさそうなマイナー機材や、既に終わっている機材をレビューしたりしていきます。 昭和シェル石油現代美術賞、イメージフォーラム・フェスティバル、バンクーバー国際映画祭、オーバーハウゼン国際短編映画際、タンペレ映画祭、ポンピドゥーセンター、ソフィア王妃芸術センター、キヤノン写真新世紀 等で発表。 写真関連は、初の写真作品で、キヤノン写真新世紀2019年度グランプリ受賞。東京都写真美術館で個展、LensCulture Art Photography Awards 2022にて Jurors’ Picksなど どこまで流されるのか・・目的地は不明。 自閉症スペクトラム障害・障害2級  尚、写真等の無断使用はお断りいたします。一言ご連絡ください。 お仕事のご相談など、気楽に、ご連絡ください。 e_mail:696969bara@gmail.com(マネージャー月影)

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